一夏の宴の夢から目が覚め、
   あれから幾晩の月日が経ったのだろうか?

今日の日付けさえわからない。

冷たい木枯らしが
     隙間から吹き付ける初冬の晩、
僕は温めた雑炊を頬張る。

ほくほくの米がほっぺたの内側を熱くさせ
     ポタポタと汗が流れる。

僕は毎晩、夜更かししてはドカ食いドカ寝をして
すっかりとお腹が弛んできた。

それもそのはず、

幸せの宴から間もない
      ある日、今までに感じたことのない

寒気と倦怠感に悶え苦しみ咳込み、
    もともと体格の良い身体が災いしてか

僕は二ヶ月間、入院して........いた.......

意識も朦朧とする重症患者になり、

コロナの治療薬も効かず、
  末期である僕に              看護師さんはこう囁いた。


「今まで   よく  頑張りましたね」
       と暖かく接して

「あなたにとっての大切な人にお会いしたくありませんか?   元気になって逢いに行きなさい」

看護師さんは防護服を着けていながらも
私の左手を握ってくださり

朦朧とした僕は暗闇の中ある
         光景が見えた。


一雫の花火が上がり


ななみさんが微笑んで僕を見つめた時の
               光景.....

彼女の瞳だけが頭に浮かんでいた...,,





僕は二ヶ月後退院して、

自宅にてリハビリが続く。


感覚的には花火大会から今まで記憶があまりない。

しかしながらあまりにも膨大な時間を無駄にして
しまった感がある。
大切な時、失われた時、人生でもっとも大事な
瞬間が崩れてしまった。

病いとは残酷だ。

1番人生で、楽しい
瞬間が病いで崩れさるとは

僕の人生っていったいなんだろうな。


後遺症は
僕の場合、主にブレインフォグと咳、
うつ症状に現れ

毎晩の鍋の食事、以外は寝ている毎日......

........死にたくなるなんて


.........いったい何度思ったことだろうか......





でも


ななみさんは僕のことなんて
 
もう忘れてしまった



だろうね.......