11月末、日曜の朝は晴れ渡っていた。


いつも美聖が起こしに行くまで電池の切れた人形のように眠る息吹は、今日だけは自分から目覚めていた。



カーテンの開け放たれた窓の向こう、ベランダで伸びをする息吹に、美聖が部屋の中から声をかける。



「息吹、珈琲飲む?」



息吹は振り返り「うん。ありがとう」と目を細めて微笑んだ。息吹の美しい黒髪が朝日によって、天使の輪を作っている。



息吹の澄んだ瞳が綺麗で儚い。


冬の始まりと共に木枯らしの風に息吹が攫われてしまいそうで、美聖は思わず彼女へ言葉を滑らせる。