「んーっ、美味しい」



美聖の向かいで、小さい口いっぱいにご飯を詰め込んでもぐもぐしている息吹がいる。幸せそうに目を細めてご飯を堪能する息吹が、いる。


事務所の1階にあるカフェで、美聖は有機野菜をふんだんに使ったパスタ、息吹は日替わりヴィーガンランチを注文した。


カフェの店員も社員扱いなので、芸能人の守秘義務やプライベートには徹底している。しているものの、美聖と息吹という天変地異的な組み合わせに、動揺を隠しきれていなかった。




「美聖くん、食べてる?」

「うん、美味しい」

「パスタ巻いたままフォーク動いてないけど」

「大丈夫、とても幸せだから」

「(何が大丈夫なんだろう)」