「美聖って相変わらず息吹推しだよね」

「思った。最近特に凄いよね。美聖くんのアカウントほとんどカクテル関連で埋め尽くされてるし」

「それな。やっぱあれかな、年内解散しちゃうからかな」

「息吹が引退したら美聖くんどうするんだろうね」



全国のあちこちでこれと似た会話がどれだけされているのだろうと想像して、美聖のアカウントのフォロワー数を見て、とんでもない人達が同じ会話をしているのだろう、と悟る。



「あー休憩終わるー帰りたい」

「明日も仕事だと思うとしんどいよね。ねえてか明日といえばさ、美聖くんの映画始まるよね」

「あ、そうじゃん。また翠とダブル主演だよね。

「多いよねえ。お似合いだけど、なんか腑に落ちない」

「その気持ちめっちゃわかる。まあでも、美聖は息吹だから」

「そうなんだよね。ね、明日仕事終わったら観に行かない?」

「え!行きたい!席予約しとくわ。うわー仕事頑張れる」



仕事で忙殺される日々の中に潤いを与えてくれる柊 美聖という尊い存在に感謝しながら、会社員のふたりは休憩明けの仕事に取り掛かった。