あの日をポケットにしまって



そこから君と少しずつ話すようになって、親友の夏奈と3人で一緒に水族館に行って、



「なにこれ思い出コーナー?」



たまたま見つけた誰かの思い出に目もくれないくらい、



「いらないよ」

「だってあたしたちは今から思い出作るんだもん」



楽しかったね。



気づけば、璃久徒とずっと一緒にいるようになって、友達じゃしないこともするようになった。

キスとかハグとか、手を繋ぐとか。


幸せだと思った。


なのに、苦しかった。


一緒にいればいるほどみえてくる。


璃久徒が夜、電話に出てくれなくなったのは、他の女の子と会ってるからかも、とか。

我慢できなくなって夜に会いに行ったとき、ほんとうに璃久徒が家にいなかったこととか。


一緒にいても安心できなくなっていって

離れていくのが怖くなって



「…お揃いで作ったの…つけてくれる?」



目に見えるもので、璃久徒をつなぎとめようとするくらい、

あたしはダメになっていった。