あの日をポケットにしまって



だって仲間にハブられて、本気で平気な顔してんだもん。



「……そっかぁ」

「あー…あたしすっぽかされたのかぁーー」



伸びをしながら心の内を吐き出していると、いきなり目の前にココアを差し出された。

触るとあったかくて、胸がじわりと熱くなる。

不覚にも泣いてしまいそうだった。


ココアを一口のむと、けっこう勢いの強い雨が降ってきて、



「…天気にも嫌われてんよ、あたしたち」



そのとき初めてふたりで笑いあったね。



「こっちだって雨なんか嫌いだわ」



あたしはそのときすごく子供で



「行くとこないのにさ、…奪わないでよ」



自分ひとりの力じゃどこにも行けなくて、居場所がなかった。



「俺んちくる?」



だから君にそう言われたとき



「……お誘い?」

「…ちげぇし」


「俺もいくとこないから」



正直すごく、ほっとしたんだ。