ずっと同じ空間にいたのに、今日初めてこんなに会話を交わす。
なのに不思議だ。
初めてな気がしない。
同じ温度で、
「どうでもいい」
君が静かに吐き捨てたその言葉が、ひどく胸に響いた。
私も同じこと、考えてた。
「雨きらい?」
「…嫌い」
“嫌い”
その言葉を聞いて思い出す。
君と話したのが、今日が初めてじゃないってこと。
中学生のとき、あたしはひどく荒れていて、なにもかもが気にくわなくて、わけもわからず夜をほっつき歩いていた。
そんなある日、今思えば浅い関係の仲間たちと駅前で待ち合わせをしていたんだけどいつまでたっても来なくて
「あんたもここで待ち合わせしてんの?」
同じ制服で、同じ場所で、同じように誰かを待つ君に声をかけたんだ。
「たぶん忘れられてる」
「…つか、わざとだろ」
淡々と告げてどこへ行ってしまった君を、正直はじめは変な人だと思った。