あの日をポケットにしまって



『自分ばっかりはダメだからね』

『相手の愛をみて』

『一緒に育てていくの……約束だよ』



俺がその約束を交わしたい相手は未咲なのに。



初めは混乱して、だんだんムカついて、時間が経つほどに最後は、情けないほど一人で泣いた。



どうして気づいてあげられなかったんだろうか。

離れれば時間が経つほど、大人になるほど気づくことばかりで。



―付き合う前は毎日夜電話してたのに、いつからしなくなったんだっけ

不安にさせてたんじゃないか、俺が。


―なんで未咲は俺が隣にいるのに音楽を聞いてたんだろう

そのとき未咲はどうなふうに笑ってた?


苦しそうだった。


自分のことを話さない未咲なりのSOSだったんじゃないか。


―そういえば少し元気がなかった


…のに俺は、自分のことばっかで



ごめんのメッセージは届かない。