一切興味のない映画がずらりと並ぶ棚がうざったかったのに、未咲が嬉しそうにするから好きになった。
手をつないで映画を見て、
人生で初めて安心した。
未咲なら、勝手にどこにも行かない。
そう思うと、人と話すのが好きになった。
未咲の誕生日プレゼントを買いたくて、きつかったけど夜バイトを始めた。
ぜんぶ、自分がいいと思える方に進めるようになったとき、
『わたし夢ができた』
『だからね、だから…』
『けっこう遠い大学通おうと思ってる』
いきなり電話で告げられて
『もし…この先…リクトが愛をあげたいと思う人に出会えたら…』
『格好つけないで素直に伝えてね』
『ストレートが一番きゅんとするんだから』
別れる前の約束みたいな言葉を残して
『……璃久徒ありがとう』
『じゃぁねっ…ばいばい』
あっけなく俺の隣からいなくなった。