22時からはじまる恋物語


「なーんか、明らかに見下されてるんだよねぇ」

はぁっとため息をついて、氷の溶けかけたカフェオレを混ぜる。
時間的に放課後の学生の多いチェーン店を避けて、少し値は張るものの、落ち着いて話せるカフェで腰を落ち着けていた。

「絶対わたしのこと先生だと思ってないし、なんなら空気だと思ってる」
「女子高生こっわー」
「丹羽も担当してるでしょ?吉井さん」
「えー俺にはそんな態度しないけどなぁ。結構真面目に聞いてくれるよ」

講師の同期で同じく大学3年の丹羽洋介。
今は就活であまりシフトには入っていないけど、たまに高校理系の科目だけ担当している。
高校理系を見れる講師は貴重な上、楠木君には及ばないものの比較的見てくれのいい彼は、なかなか重宝されている講師の1人だ。

......まぁ、そうですよね。
いくら楠木君に熱を上げているとは言え、女子高生にとって大学生の男の人は、魅力的に映るよなぁ。
しかも数学となれば、教えてもらう価値もある。
明らかにおまけで取った古文、しかも女性講師。
なめられて当然と言えば当然か。