え?
彼氏?
今、この綺麗な口元から発された言葉の意味を、理解できない。
今、わたしは仕事の質問ではなく、彼氏の有無を聞かれたの?
この、綺麗な男子高校生に?
そ、それってどういう...
「え、えっと...」
「あ、チャイム」
質問の意味を理解しそびれていると、授業終了のチャイムが響いた。
同時に小学生を中心とした比較的低年齢の子達が教室を飛び出してきて、一気に賑やかになる。
コマの入れ替え時間は、慌ただしい。
「桜井先生さよーならー!」
「あ、お疲れ様!」
子ども達の対応をしているわたしの横を抜け、後ろの方の席へと移動する楠木くん。
すっと伸びた背筋を見送りながら、はてなマークとびっくりマークとが交互に脳裏に浮かんでいる。
...やばい、授業のフォローが必要なのは、わたしの方かもしれない。


