しかし、いつまで経っても彼女は人のベッドから退かず、背中に視線をビシバシ感じるので、厄介だと思いつつも上半身を起こし、

「宇都宮だよ…1組の」

渋々答えた。

「1組なんだ!じゃあ、お互いのこと知らなくてもおかしくないよね。私は17組だから」

1組と17組では、教室がかなり離れているので、廊下ですれ違うことすら殆どない。

「あのさ…。俺は名乗ったんだけど?」

「ごめんごめん!私はエイラ!」

「エイラだぁ?」

何だ、そのけったいな名前は…と思い、まじまじと彼女の顔を見た。

やたら色白なだけでなく、全体的に色素がかなり薄い。

「あ、さては変な名前って思ったでしょ?私、こう見えてハーフでね。ウェールズ語で雪を意味するエイラって名前なの。彫りが浅いから、ハーフとは気付かれないことも多いんだけど」

「ふーん」