この高校は、県内最大のマンモス私立だ。

他の学校を落ちた生徒の大半が、ここに通うことになる。

成績のいい一部の生徒たちは、少人数制の特進でひたすら勉強漬けの日々を送り、一流大学への進学を目指す。

スポーツに秀でた生徒たちは、スポーツ推薦でこの学校に来て、体育コースに属し、勉強よりも、とにかくスポーツで結果を出すことだけを求められる。

そして、残りの大半はと言うと、最下位の県立を落ちた連中さえここへ来るのだから、ハッキリ言って、本当に吹き溜まりでしかない。

中学も一緒だった同級生から聞いた話では、吹き溜まりの連中は、何の目的もなく学校には来るものの、授業中はずっと大声で私語をしていたり、酷い者は教室を歩き回ったり…もはや幼稚園児以下だという。

そして、教師たちも、彼らには何の期待もしていないようで、叱ることもなく、誰も聞いていない授業を一人で勝手に進めて、チャイムと同時にさっさと出ていくらしい。

本当に、なんて最悪な学校だろう…。

もう、何度目かわからない、重いため息をついた時、

「ねぇ。幸せが逃げていくようなため息、もう10回目だよ?」