ウツへ

この手紙が、ちゃんと形としてあなたのもとに届くことを祈りながら書いています。

試験期間に入る前、私は1学期いっぱいで退学することにしました。

そのことを告げようと何度も思ったけれど、恐らく、最後まで言えないと思います。

私がハタチまで生きられないであろうこと、それでも生きることを諦めたくないことは、前に話しましたね。

心臓移植の手術を受けられることになったのです。

ただ、ドクターの説明によると、うまくいけば寿命が延びるけれど、私は体力がないせいもあり、手術中に命を落としてしまう可能性も高いとのこと…。

そのリスクを聞いて、迷いがなかったと言えば嘘になるけれど、もし何もしなければ、それこそハタチまで生きられないのは、ほぼ確実。

だから、危険を承知の上で、手術を受けることに決めました。

勿論、怖いですよ。

だけど、やはり生きることを諦めたくはないし、何の根拠もないけれど、手術は成功すると信じています。

勝手かもしれないけれど、ウツにお願いがあります。

私は、あなたと知り合ってから、生きていたいと思う気持ちはますます強くなりました。

だから、ひとつ約束をして欲しいのです。

あなたの卒業式の日、此所でまた逢ってください。

私は、必ず生きて、ずっとその日を待ち続けるから、あなたもどうか生きていて。

それと…これは、伝えるべきかどうか、とても迷ったけれど、やっぱり伝えさせてください。

とても短い時間しか一緒に居られなかったけれど、私はあなたと知り合えたことで初めて、恋というものを知ることが出来ました。

今の私にとって、あなたが生きる希望です。

ありがとう、ウツ。


Eira