「エイラ」

俯く彼女に、そっと声をかけると、無理したような笑顔で僕を見つめ返してきた。

「こんな非現実的な世界で、俺たちは出逢ったんだから、必ずまた逢えるよ。だから、約束しよう。どんな形であっても、いつかまた必ず再会することを」

そう言って、僕は小指を差し出した。

「子供じみてるけど…指切り」

エイラは、真っ白な小指を僕の小指に絡ませようとしたが、指は互いの体をすり抜けてしまい、触れることが出来ない。

「エイラ…!?」

僕のすぐ目の前で、エイラは虹のように薄く消えてゆく。

エイラは何か言ったようだが、その声も聞こえない。

キラリと一滴落ちた雫は、きっとエイラが初めて見せた涙だろう。

ひとり残された僕は、茫然自失するだけだった。