「確かに、興味はあるよ。でも、知っちゃいけないことでしょう?それに、21世紀がどうなっているかは、未来を生きるウツに教えてもらうんじゃなくて、自分の目で確認する。それまでちゃんと生きて、自力で知りたいの…」

僕は、もうこれ以上、ふたりの間にある6年の隔たりについて何も言うつもりはなかった。

ハタチを迎えられないだろうと言われてきたエイラにとって、6年先を知ることなど、とてつもない恐怖に決まっている。

それに、自分の目で確かめたいという思いが彼女の生きる原動力になるのなら、邪魔するようなことなど出来る筈もない。

だから、こんなあり得ないような状況であっても、僕は今の時代については一切話すことはなく、エイラも尋ねなかった。

ただひたすら、互いのことだけを飽きもせずに語り合い、気づけば、僕にとってエイラの存在は、もう一度生きようと思える希望そのものになっていた。