「気にしてないよ。私もウツのことはまだよく知りもしないけど、もしウツが単なる嫌な人だったら、私だって近づいたりしないから」


この頃から、僕らは毎日、当たり前のように保健室でいろんなことを語り合うようになった。

陸上選手生命を断たれた日から、生きたくても生きられない人とはきっと、どこまでも平行線で、決してわかり合えることなどないと勝手に決めつけていた。

しかし、エイラが心優しく大人だから、僕の頑なだった心も、日ごと和らいでいくのがわかる。