「私はねぇ、ハタチまで生きられないって言われてるんだわ」

「え…？」

エイラが、あまりにもケロリと言うので、冗談か本気か判らずに戸惑ってしまう。

「何で…？」

「生まれつき心臓が悪いの。親からは、敢えて私が物心つくかつかない頃から、ずっと本当のことを言い聞かせられてきた。奇跡が起きない限り、人よりも短くしか生きられないのだから、１秒も大切にして、短くても濃い人生を送るように、って。でも、どうやって短く濃く生きるかわからないまま、あっという間に１７になっちゃった。だからね、ウツみたいに、何かに人生を捧げてきた人のこと、本当に凄い思うの」

そんなつらい話を、相変わらずニコニコして言う彼女に、自分のつまらない話で傷つけてしまったのではないかと思い、胸が痛む。

「ごめん、俺…」

そう言いかけた時、

「ダメダメ。同情や憐憫はナシだよ」

エイラが微笑んだままで言う。

「だってウツ、同情されたくないって言ってたでしょう？それは私も同じ。昔から、誰もがみんな、私のことを可哀想な子だって、気を遣ってくれたけど、それって決して居心地のいいものじゃないし」