それでもそんな君が好き




次の日。
どれだけ絶望していたって普通に朝が来るのだと当たり前のことを知って、また苦しくなる。


……学校、休んでしまおうか。


そしたら桐谷くんに会うこともないし、もし私の本性が学校中に知れ渡っていたとしても気づかずにいられる。


……なんて、今日やこの先一週間くらいは逃げられたとしても、ずっと休むわけにはいかないし、すぐ学校に行かないとけなくなるのに。


それにもし昨日のことが広まっているならすぐにフォローしたほうがいい。
今日休んでしまったら『本当のことだから逃げたんじゃ?』って疑惑が深まるかも。
後から言い訳を並べたって、信じてもらいにくい気がする。


正直、上手い言い訳はあまり思いつかないけれど、あれくらいの愚痴ならまだなんとかなる……と思いたい。


こうしてすぐに自分を守ろうとするところ、そのためなら嘘をついたっていいと思っている自分のこと。
いまさら始まった訳じゃないのに、そのことに改めて気づいてまた自分が嫌いになる。


「……いってきます」


玄関を出る直前に鏡に映った私の顔は、驚くほど暗かった。