それでもそんな君が好き




七瀬ちゃんたちと別れたあと、すっかり夜も更けて静かになった道を歩く。
いつもの癖でガレージに目を向けると、そこには見覚えのある人影が見えて驚いた。


「桐谷くん? もう遅い時間なのに、帰らなくて大丈夫なの?」


思わず声をかけると、じとっとした目で見られる。


「それはお前もな。こんな時間にひとりで歩いたらあぶねえんじゃねーの」

「え、あ……うん、そう、かも」


反論できず素直にうなずくと、桐谷くんは口元を緩めた。
その反応になにかおかしいことを言ったかと首をかしげる。

桐谷くんは私が疑問に思っていると気づいたのか、口を開いた。


「自分のこと、卑下しなくなったなと思って」


そう言われて、そういえばそうかもしれないと気づいた。
もし言いそうになっても、最近は言うのを途中でやめていた。

――だって。


「それは……桐谷くんのおかげ、かな」

「俺?」

「うん。私なんかって思ったときとかにね、桐谷くんが出てくるの。『自分のことそんなふうに言うな』って」


素直に本当のことを話すと、目の前の彼は目を見開いた。

私が自分のことを卑下したときにいつも怒ってくれていたのはまぎれもなく彼自身なのに、そんなに驚くことだろうか。