それでもそんな君が好き

「きゃーっ!」


急いで舞台袖に向かう途中、観客の歓声が聞こえてくる。

王子様のプロポーズは女の子たちにきゅんときたみたいだ。
実際、桐谷くんのセリフは甘酸っぱいし、それを目の前で聞いている私はドキドキを隠すのにいつも必死だった。

だから歓声を上げたくなる彼女たちの気持ちがわかる。
だけどやっぱり桐谷くんのことが好きだからか、少し心が痛んだ。

「結衣ちゃん、ドレスこれね!」
「ありがとう!」


痛む心を抑えて着替えている間、歓声に紛れて笑い声も聞こえてくる。
どうやら男子たちは大笑いしているみたいだ。

きっと桐谷くんと仲のいい男子だちは、彼が王子様役をしていることが面白くて、見ているのが楽しいんだろうな。


女の子には歓声を上げられて、男子には笑われて。
だけど当の本人はあまり気にする様子は見られない。


私だったら絶対に嫌になっている。
みんながバカにしているわけではなくて、楽しんでいるからだとわかっていても、きっと怖くて仕方がない。


だから桐谷くんが羨ましい。
そしてそんな彼がやっぱり少し怖い。