それでもそんな君が好き

思わず口元がゆるむと、彼もこたえるように口角を上げ私を見た。


「つーかさ、あんだけ頑張ったんだし緊張すんのなんか当たり前だろ」

「え?」

「いい劇にしたいと思ってんなら緊張すんのが普通。緊張感のない本番なんていいもんになるわけないんだから」


桐谷くんの言葉を聞いて目をぱちぱちさせる。
……ああ、また彼をまぶしいと思ってしまった。

桐谷くんの言葉は私にとっては目から鱗で、心の中にそっと優しく溶けていく。


「……うん、そうだよね。ありがとう」
「どーいたしまして」


彼とのやりとりが一段落したとき、プツッとマイクが入った音がした。

あっちゃんが観客席には聞こえないよう配慮した声量で、みんなで円陣を組もうと呼ぶ。
集まったクラスメイトみんなの顔を見るとなんだかほっとした。


「みんな、大事なことはひとつ! 楽しむこと! はっちゃけるよー!」

「おー!」


はっちゃけるってなんだよ、円陣ぽくねーと笑いながら自分の場所へと移動するみんな。