それでもそんな君が好き




「お化け屋敷やってまーす!」
「ねえねえ、どこ行く~?」
「フランクフルトこっちだって!」


文化祭当日。
楽しそうな声がひっきりなしに聞こえて、盛り上がっているのがわかる。

だけど私は、心臓はドキドキしていてもみんなと同じように騒ぐことはできそうにない。
なにしろ劇の本番が近づいているからだ。


「わたしお腹すいたからご飯買いに行きたい!」

「瑠々も~。でも食べすぎたら衣装着たときお腹でちゃうかなあ」

「食べすぎなかったら大丈夫! 七瀬と結衣はどうする?」


ひまわりちゃんに名前を呼ばれてはっとする。
いけない、せっかくの文化祭なんだから楽しみたいのに。


「私は……どうしようかな」


正直、不安と心配で食欲がない。
だけどみんなと文化祭をまわりたい。
でもこんな気持ちで一緒に行って気を遣わせないだろうか。

ぐるぐると考えていると、突然瑠々ちゃんが私の顔を覗き込んだ。


「劇、失敗しないか心配?」


素直にこくりと頷く。
すると瑠々ちゃんはにこっと笑って私の手を握った。