それでもそんな君が好き

「えーいいねえ。じゃあ行こうかな」


文化祭っていつだっけ? と聞いてくる母親に答えながら、ほっと息を吐く。

……やった。
言えた。
それも見に来てくれるって!


もう今すぐ桐谷くんや七瀬ちゃんたちに伝えたい気分だ。
勝手に上がってしまう口角を笑顔で誤魔化して、母に文化祭のことを話す。


――そう、見に来てほしいのだ。

私には大好きな友だちがたくさんいること。

好きな人がいること――は恥ずかしくて話せないけれど、それでも、魅力的な男の子がいること。

こんな私を愛してくれるクラスメイトがいること。


文化祭に来るだけでは全部伝えられないだろうし、伝わらないだろう。
だけどそれでも母親には知ってほしいのだ。


笑って、悩んで、泣いて、また悩んで。

そんな普通の生活をしていることを。

私は大丈夫だから、心配ないということを。


そうして母に安心してほしい。
文化祭が終わったら、またたくさんのことを話そう。

そしたらこの隙間も少しずつ埋まるはずだ。


そしていつか――近いうちに、本当のことを伝えたい。
心の隅でそんなことを思った。