それでもそんな君が好き

「結衣は来てほしいんじゃないの?」
「えっ?」


思っていることを当てられてドキッとする。
どうしてわかってしまうんだろう。
もしかして私は思っているよりもわかりやすいんだろうか。


「そうなのー? じゃあじゃあ、誘ってみたら!?」
「えっ、うーん、でも……」


ひまわりちゃんにキラキラした目で見られて言葉に詰まる。

少しずつ成長できているといっても、まだ自分から誘うのには抵抗があった。
特にこういう、OKがもらえるかどうかわからないものは。

やっぱり自分はネガティブで、弱虫で、断られるのがとても怖いのだ。
たとえそれが母親相手であっても。
……いや、母親が相手だからこそかもしれない。


「言ってみねーとわかんねえぞ」


凛とした声が響く。
声の主は桐谷くんだった。


「そーそー! 言うのはタダだよ! お得!」

「瑠々、ゆいぴーのママが来るならちゃんと挨拶した~い」

「え!? どういうこと!? 結婚!?」

「バカひまわり。それはどっちかというと桐谷の役目でしょ」

「あ~……舞台の上とはいえ娘さんとベタベタしてすみませんってことお?」

「はあ? ベタベタなんてしてねえから」


桐谷くんも会話に入ると、より一層にぎやかになる。
ふふ、と思わず笑うと、七瀬ちゃんがぽんと私の頭に触れた。


「来てくれるといーね」


ふわりと微笑む七瀬ちゃんはそれはとても優しい表情で。
頑張れとは言われてないのに、頑張ろうという気持ちがわいてくる。


「……うん。もし来てくれたら、七瀬ちゃん会ってくれる?」

「当たり前でしょ。結衣のお母さんどんな人か気になるし」

「ふふ、普通だよ」

「結衣の普通は余計に気になる」


みんなと雑談をしながら、心の隅で覚悟を決めた。