それでもそんな君が好き

「みんなすごくかわいいね」


人魚姫の姉役の七瀬ちゃんたちと私の衣装は似ている。
だけど色やデザインがひとりひとり少しずつ違う。

七瀬ちゃんは紫色で大人っぽく、ひまわりちゃんは黄色でまとめられていて、髪の色と合いとてもきれいだった。
魔女役の瑠々ちゃんは、黒色と青色が映える暗い色の衣装だ。
今はいつものメイクでかわいらしい印象だけれど、メイクを変えたらきっと深海に住む魔女のような雰囲気に変わるだろう。

素直な感想を伝えると瑠々ちゃんがぎゅっと抱きしめてくる。


「え~うれしい! ありがとお!」
「結衣も似合っててかわいいよ! ね、王子!」


ひまわりちゃんが急に桐谷くんに話を振る。
ドキリとして思わず彼の方を見ると、相手もこっちを見ていて目が合った。

普段とは違う格好を見られるのはなんだか恥ずかしい。
なにを言われるか想像がつかず黙っていると、桐谷くんは「あー……」と声をもらした。


「……うん、似合ってる。綺麗になった」
「え?」


褒められて嬉しい……けれど、そのあとに続いた過去形の言葉が気になった。

いったいなにと比べて……
そこまで考えてふと思い当たる。

もしかして幼稚園の――


「ちょっとお、匂わせするのやめてくださーい。炎上するので」
「はあ?」


瑠々ちゃんの声で思考が途切れる。
さっきまで優しい表情をしていた桐谷くんは一変し、眉間にしわを寄せていた。