それでもそんな君が好き

「じゃ、さっそくお願い! ほらはやくはやく!」


自分が作ったものを誰かが着るのを見るのがいちばんの楽しみなんだから! と背中を押される。
男子と女子で別れて着替え、着替え終わったら役者のみんなで一列に並んだ。

衣装係の子だけじゃなく、各々準備をしていくれていたクラスのみんなもぞろぞろと集まってくる。

視線が集まるのはもちろん私たちで。
自分だけがじろじろと見られているわけではないのに、なんだかそわそわと緊張して落ち着かない。

ただでさえ今着ている人魚の衣装は露出が多いというのに。
もちろん水着ほどではなく、お腹にも背中にも布があるけれど、それでも私が普段着ている服に比べたら心もとなかった。

そんな私の不安を知ってか知らずか、周りのみんなは騒ぎ始める。


「きゃー! 桐谷くん本物の王子様みたい!」
「結衣ちゃんかわいい~!」
「なにその衣装! めっちゃおもしろいんだけど!」


みんながそれぞれ笑顔で声をあげる。
似合わない、変、なんて空気は一切なくほっとした。


「ゆいぴーかわい~!」
「人魚の衣装って動きにくいなあ」
「ひまわり、その格好で走り回ったりして破らないでよ」


手持無沙汰でいると、すぐに瑠々ちゃんたちが話しかけてくれた。
七瀬ちゃんに心配されているひまわりちゃんは「さすがにそんなことしないよ!」とすねている。