それでもそんな君が好き

そう考えたとき、ふと思い出した。

『バイト先の人に告白された』

前にガレージで桐谷くんにそう話したことがあることを。


「ち、違うよっ!? 告白してくれた人は年上の人だし、学校とかも全然違うから、バイト先でしか繋がりのない人で……」


悪いことなんてしてないのに、まるで弁解するみたいに必死に口を動かす。


「それに相田くんが私のこと好きなんて、あり……想像できないっていうか」


ありえない。
出かかった言葉を飲み込んで別の言葉に言い直す。
そうしないとまた隣の彼に怒られる気がしたから。

だけどそれだけじゃやっぱり心配で言葉を付け足す。


「相田くんってバイト先でもあんな感じだから、もし相田くんに好きな人がいるならどんな人か見てみたいって感じ、だよ」


ちらりと彼の様子を伺うと、おかしそうに笑う姿が見えた。


「たしかに」


肯定の言葉が聞けて、ほっと安心する。
うんと頷くと私たちの間に沈黙が流れた。

なにか話さなきゃ。
気まずいな。
そんな気持ちもあるけれど、前に比べると格段に減った気がする。

今はそれよりもなによりもドキドキする心臓の方が気がかりだ。
さっき触れた手がまだ熱い。
こんな調子じゃ彼に気持ちがバレてしまうのではないかと不安になる。

いろいろな感情がぐるぐると回って思考をさえぎり、沈黙の時間が長くなればなるほど余計になにも言い出せなくなっていく。

もう遅いし帰るねって言って解散したほうがいいかな……
だけどまだ桐谷くんと話していたい。