それでもそんな君が好き

彼の姿が見えなくなると途端に体の力が抜ける。
コンクリートの上に座り込むと、桐谷くんも隣に腰を下ろした。

「はあ~……」と大きなため息が聞こえる。
とんでもない嵐に巻き込んでしまった。


「ごめんね、桐谷くん」
「なんで早坂が謝るんだよ。いちばん謝るべきなのはアイツだろ」


その言葉にあはは……と苦笑していると、桐谷くんは「いや違うな」とこぼした。


「いちばん謝るべきなのは俺だ。早坂が俺と幼なじみだってこと隠したいって知ってたのに、勝手に話してごめん」


桐谷くんの声はとても暗くて悲しそうだった。
彼が落ち込んでいるのを見るのは二度目だけれど、前よりもひどいように見える。

どうしてそんなに辛そうな顔をするの。
そりゃ秘密にしておいてほしいことを話したことにはびっくりしたけれど、怒ってなんかない。
そんなに悲しそうな顔なんてしなくていいのに。

いつもキラキラした彼をこんな表情にさせている原因のひとつが自分だというのは、なんだか変な感じがする。
この空気を吹き飛ばしたくてにこりと笑った。


「ううん、いいの。それに、私たちが幼なじみって知ったときの相田くんの顔見た? いつもびっくりさせられる側だから、なんだか清々しちゃった」

「それは……たしかに」


神妙な顔で頷く彼がなんだかおかしくて笑いがこぼれる。


「ふふ、でしょ? だからほんとに気にしないで大丈夫だよ」
「ん……ありがとな」


そう言う桐谷くんの表情はさっきよりも明るくて安心する。
やっぱり彼はこうでなくては。