それでもそんな君が好き

「誰か来たの? 見つかったらなんかまずいの?」
「わーっ、しずかに、しずかにして!」


できるだけ小声で必死に伝えても彼は楽しそうに笑うだけだ。

ああもうどうしよう……!

この大物を自分の思い通りに動かすことなんて不可能だ。
心臓がバクバクと鳴っている。

するとすぐ近くで人の気配がした。
ちらりと伺うと、ガレージの入り口に桐谷くんが立っている。


「あれ? 結衣ちゃんのす――」


なにを言おうとしたのかはわからないけれど、とっさに相田くんの口を手でふさぐ。


「よ。早坂は来てねえのか」


なんとか桐谷くんには気づかれていないようで、しいちゃんに話しかけていた。
ドキンドキンと心臓が痛い。

おねがい、早く家に帰って。
そう願っていたのに。


「にゃー」


しいちゃんが鳴いたと思ったら、てくてくとこちらに歩いてくる。
桐谷くんは導かれるかのようについてきて――