それでもそんな君が好き

「……相田くんって不思議だよね。私は相田くんの方がよっぽど底知れないなって思うよ」


いつも笑顔で飄々としていて。
親しみやすさを感じるのに遠慮もデリカシーもなくて。
それなのに本質を見抜く洞察力がすごくて。

彼は私と同類だと思う反面、そうではないとも思う。


「オレはオレだよ。別にキャラ作ってるわけでもないし、嘘をついてるわけでもない。まあだからこそ胡散臭いとか言われんだよねー」


いつものようににこりと微笑まれる。
だけど私はいつものように笑い返すことはしなかった。


「オレみたいな人間がいると不思議?」
「……うん」
「ははっ。人間なんて不思議の集まりだからねー」


どこか達観した物言いをする相田くんと話していると、ふと遠くのシルエットに目が留まる。


駅から歩いてきている人の中にいるのは桐谷くんだった。


そういえば彼も今日はバイトがあると言っていた気がする。
このままでは相田くんとふたりでガレージにいたことがバレてしまう。

べつに悪いことをしていたわけじゃないのに、見つかりたくないと心臓が焦り始めた。
すぐ隣にいる相田くんの袖をぎゅっと掴む。


「こっちに来て!」
「なーに突然、かくれんぼでもすんの?」


完全におもしろがっているであろう彼はあっさりと従ってくれた。

ガレージの奥へと進んで、ソファーの後ろに隠れる。
身長が高い相田くんは少しはみだしていたけれど、夜で暗いし見つからないと信じたい。