それでもそんな君が好き

「……桐谷くん、あのときはごめんね。ずっと謝ろうって思ってたのに、ずっと言えなかった」


やっと口にできた言葉は案外すぐに言い終わってしまう。


「んなのいいよ。俺もあのとき約束守れなかったし、ごめんな」


そしてすぐに過去になって、新しい未来をつくっていく。

桐谷くんの表情は悲しそうでも嬉しそうでもない。
だけど優しくて温かい雰囲気だった。

でも目は鋭くて、視線を向けられてドキッとする。


「次こそはちゃんと守るから」


そんなことを真っすぐ言える彼はやっぱりかっこいいな。
素直にそう思う。

そういうところが好きで、憧れていて、やっぱりどこか恐ろしい。


「……ありがとう。私も桐谷くんのこと守れるように頑張るね」

「ん、頼む」


守られてばかりの女なんて私の理想ではない。
それならば強くならないと。

彼も、友だちも、そんな人たちが好いてくれている自分自身も、守れるくらいに強くならなければいけないのだ。


覚悟を決めた夜、猫は静かにその様子を見守っていた。