『今日の天気は晴れです、義姉上』と、お天気の話でもするように、ギリアンは私に言いました。 

そのあまりにも普段のままの口調に、私はどう
返事を返せばよいのかわかりませんでした。


「……初めて、聞いたわ」

「初めて、言いました」

一体、いつから私を想ってくれていたのでしょうか?

 
私の知っている義弟は、伯母様に連れられて遊びに来た時も一緒に遊ぶことはありませんでした。
ギリアンはいわゆる『出来の良い子供』でした。

私や彼の姉のスカーレットから離れ、1人邸の庭で庭師と話し込んでいる姿をよく見かけました。

寂しがり屋の甘えたで、何事も誰かを頼ってしまう。
そんな情けない姿しか見せられない私を、嫌っているに違いない。
そう私は思っていたのです。


「貴女が留学すると聞いて、告白しようかとも
思ったのですが、まだ早いかなと……
 1年経って帰ってきたら打ち明けようと決めていましたが、今から考えたら留学前が唯一の機会でしたね」

「……」

「卒業したのに帝国に残ると聞いて、会いに行きたかったけれど、私は学生で身分もお金も時間も……何も持っていませんでした」

「……」

「また男絡みか、懲りないひとだなぁ、って」

「おっ、男っ?」