「もしかしてシャーロットは僕が信じられない?
 クリスティン様とは、変なことにはならないから信じて欲しいな
 僕は本当に君を大切に想ってるんだ
 父上も母上も、僕の周りの人間も、全てが
君以外に僕の花嫁はいないと、言ってることは
知ってるだろう?」

「……」

『僕の周りの人間』って?
じゃあ、貴方は?
貴方は私以外に自分の花嫁はいないと、思っていないの?


「君に初めて打ち明けるとね」

君だけに秘密を教えようとでも、言うように
ノーマン様は私の耳元で囁きました。


「クリスティン様は僕の初恋の相手なんだ
 これは結婚前に、それを捨てるチャンスだと
 思って欲しい」

(貴方は婚約者の前で、初恋だと言うの?
気分が悪くて吐きそう!)


私の黒髪を優しげに撫でるノーマン様に、そう言ってやりたくなりました。
なのに、何も言葉に出来ない自分が腹立たしくて
たまりませんでした。


「夏が終われば君の元に戻るよ」