それは当時、王太子だったアーロン殿下の18歳の成年のパーティーで起こりました。


我がカステード王国では18歳で成人と認められますので、王家の男性は皆様その2年以内に
ご成婚されていました。
それゆえ、今回のパーティーで王太子殿下の
ご成婚までのタイムスケジュールが発表される
だろうと、私達は認識しておりましたが。


実は王太子殿下には、王命により定められた
ご婚約者様ではない
『真実の愛』のお相手がいらっしゃると、広く
知られていたのです。

王太子殿下のお側には必ずそのお相手の
アン・ペロー嬢がいらっしゃいました。
おふたりは学園に入園されて間もなく出会い
恋に落ち、いつも寄り添われていました。

王太子殿下がペロー嬢を優しく見つめられて
白い薔薇を一輪お渡しになるお姿は、
学園内では見慣れたものになっていました。


ペロー嬢は貴族ではなく、平民の女性でした。
とても優秀な方らしく、大司教様のご紹介で、
特待生として入学されたのです。

ストロベリーブロンドの髪と澄んだ空色の瞳の
美しいその外見も。
朗らかで溌剌とされたその性格も。
王太子殿下に愛されるのに相応しい、
特別な何かを持っておられるのがわかるような。
そのような女性でした。