初恋の沼に沈んだ元婚約者が私に会う為に浮上してきました

エドガー様は私が席を立つのに合わせて、立ち
上がり……
不意に抱き締められました。


「俺は君がいるから、こっちに留まっている事が出来ているんだ」

「……」

「君がいてくれたら前へ、明るい方へ
 進んで行ける」


エドガー様と朝を迎えると。
目覚めた私の顔を、先に起きていらっしゃった
エドガー様が見つめている事が何度かありました。

また、この御方は眠れていなかったのだと、
思いました。
この御方は今でもまだ、グッドウィン公爵閣下を守れなかった悪夢を繰り返して見て、
眠れなかったのだと、思いました。


「ゆっくり、私と一緒に前へ、明るい方へ
 進んで行きましょう」


大丈夫。
貴方は私を護ってくれています。


 ◇◇◇


エドガー様を交えての、家族だけの昼食が終わりました。
よく食べて、よく飲み、よく話し、よく笑いました。

王宮に戻る私とエドガー様を見送っていただいて
『それでは、後で』と、挨拶しました。

今夜の晩餐会で、また顔を合わすけれど。
それ程話せるとは思えませんが、半年後に帝国で会えます。
『さようなら、お元気で』とは、言いません。