私は昨夜ギリアンから聞かされた、彼の新しい夢の話をエドガー様に話しました。


「この煎じ薬の中に、例のガルテンのお茶があるのでは、ないでしょうか?」 


いつも冷静なエドガー様も、少し興奮されている様に見えます。


「確かに、これは金と時間がかかるな……
 恐らく、ギリアンの代でも無理かもしれないな
 自生している薬草の管理は難しいだろう
 植物は生き物だ、細心の注意を払わねば死んでしまう
 薬が完成するまでに、他領や他国に情報が漏れてしまう可能性も高い」

「ギリアンもその事は想定していますわ」

「ギリアンやお父上のご了承をいただいてから、殿下に話してみても、いいかな?
 帝国皇家が後ろ楯についてくださったら資金面や情報の漏洩阻止に、ご協力いただけるかも知れない」

「ですが、もしあのふたりが皇家の介入を
望まないようでしたら、殿下にはご内密にして
くださいね」

エドガー様が大きく頷いてくださったので、
この件に関してこの先は、お父様とギリアンの
3人で話を進めていただく事にしました。


「俺には見えるよ
 王国内だけではなく、他国の民がガルテン伯爵家の紋章が印された薬を手に入れる未来だ」