「我々が君やノーマンを知るようになったのは、あの女がこの国を逃げ出した後の事だ
 あの女とノーマンは以前から関係があった?」

「学園の頃からと、言うことでしたら有り得ませんとしか……
 クリスティン様は筆頭公爵家のご令嬢で王太子殿下の婚約者ですし、ノーマン様は伯爵家の三男です
 何らかの繋がりがあったとは思えません」

「じゃあ、どうしてあのふたりは別荘でひと夏を過ごす仲になった? 
 こっちに来る以前に何かなければ、そんなことにはならないだろ?」

「クリスティン様がこちらへ遊学される前に、
ノーマン様がお花とお手紙を届けられたから
です」

私がそう答えると、殿下もエドガー様も信じられないと、言いたげな表情になられました。


「貴女という婚約者がいたのに、あいつは他の女に花を贈ったのか!」

エドガー様が呆れた様にそう仰ったので
『この方は今決まった方がいらっしゃらないから私に花を贈ってくださったのだ』と、知れて
このような場でありながら、それを嬉しく思ってしまいました。


「何故、それほど繋がりのなかったノーマンが
クリスティンに夢中だったか、わかる?」

それついては、もしかしたらと考えていたことがありました。
それぐらいならお伝えしても構わないでしょう。


「お月様の絵本です
 クリスティン様はその絵本のお姫様にそっくりなんです」