クリスティン様の一言により作成された調書。
それを利用した王家。
示された冤罪を、疑う事なく受け入れた国民。
私もそのひとり……


信じられない、信じたくない話でした。
ペロー嬢の裁判が開かれなかったのは、都合の
悪い話が出ては困るからだったのでしょうか。


「……どうして私に、こんな話をお聞かせするのですか?」

祖国王家のこんな顔は、知りたくありませんでした。
どうして皇太子殿下は私に?


「君は被害者だと、言っただろう?」

「……」

「ノーマンもクリスティンに魅了されていたからだよ」



 ◇◇◇


昼下がりに始まったお茶会は、皇太子殿下が席を立たれてお開きとなりました。
皇宮からお迎えの馬車が到着されたのです。


「これからと、いう時に帰るのは残念だけど
 キャルから君がお茶に来ると聞いたので、
執務を放り出して来たんだ
 さすがにもう帰らないと、徹夜になって
しまうから」

立ち上がったエドガー様と私を、殿下は手で制されました。


「バイロンは、今日はもういい
 ガルテン嬢を送って差し上げろ」

「御意」

「シャーロットと呼んでもいいね?
 近々またお茶を一緒に飲もう」

「かしこまりました」

「まだ途中までしか、話も聞いてないし
 次回は真実の愛について、もっと語ろうか
 君はノーマンのことを教えてくれ」