『おはよう!待った?』


『ううん、待ってないよ』


 そんな何気ない彼とのやりとりが、


『今日はな、おすすめのカフェがあるんだ!…って、うそだろ、定休日かよ!?』


 そんな彼の少しドジなところが、本当に大好きだった。


 …でも。


『…なんだよね。…ねぇ、聞いてる?』


『…あー、うん。聞いてる聞いてる』


 時々、スマホをいじってばかりいて、私の話を聞いていなかったり。


『ねぇねぇ、次どこに行きたい?』


『んー、キミが行きたいとこならどこでもいいよ』


 私がどこに行きたいと聞くと、決まってどこでもいいよ、と全部私任せにしたり。


 別にスマホを触らないでというわけじゃない。


 ただ、デート中ぐらい、私の方を見てほしいだけ。


 デートの行き先だって、私のことを考えて私の行きたいところに行こうって行ってくれるのも嬉しい。


 でも、ずっと私に任せっきりで自分の意見を言ってくれないのは、違う気がする。


 そんなあなたに対する小さな小さな黒いモヤが、少しずつ少しずつ溜まっていって。


 いつしか暗闇みたいになってしまったんだ。