初めて君を見たあの日から。
君を守らなくてはいけないと思っていた。
俺は7歳も年上で、その年齢差が縮まることはないのだからと。
君は天使で、世の中の穢れたもの全部から守りたいと。


グレイス、
君は気付いていないと思うけど、君がこの家に来てくれて皆変わったんだ。

父は食事の席でよく冗談を言うようになり、
母は夜出掛けるのが減っている。
妹は私室に籠らず、家族とよく話すようになった。

料理長は張りきって新作のレシピを作り続け、
給仕をする者は1回で限界まで大量にサーブ出来るようにと、自主訓練しているらしい。
用事のないメイドが君の周りをウロウロしてることは、知らないだろうね。
皆が君に声をかけられたくてうろついてるんだって、いつもの表情とは違う家令が教えてくれた。

庭師も、御者も、みんながね?
君の事が大好きなんだ。

ずっと皆で
君がこの家に来てくれることを
待っていたんだよ。

そんなことには気付かない君だから。
自分でも気付いていない優しい強さが
周囲の皆を変えていく。


ずっと天使の君を守りたいと、思っていた俺だけど。
ずっと君も、その名前通り俺を守ってくれていたんだ。
俺と結婚してくれてありがとう、って。
あと何回言えるかな。


この先も、君が気にしているみたいに
義母上の様にふくよかな女性になっても。
俺のところに舞い降りてくれてありがとう、と。
しつこいくらいに伝えるよ。


いつか君から俺の事を
『愛しています』と言ってくれる日が来ても。

断然、俺の方が愛してる。
 

これからも、俺の片想いは続いて行く。


俺は断言出来る。

絶対、一生続く。




  おわり