◆
翌日、最後の試験を終えて、帰路につく。これで里央も晴れて夏休みだ。
ちなみに、昨日の合コン仲間も今日も同じ試験を受けていた。
彼女たちは皆、里央が葵の告白を断ったことを知っているようだった。どうも、二次会で葵本人から聞いていたらしい。
冷やかし半分で「あんな素敵なひと、もったいない」って言われたけれど、里央の琴線には触れなかったのだからどうしようもない。
さんざんからかわれてから、ひとり帰路につく。
――と、校門近くまできたところで、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「里央ちゃん!」
おかしい。もう二度と聞くことのない声のはずだ。
校門の方へと目を向けると、見覚えのある姿があって、里央は困惑した。
葵だ。
少しはにかむような笑みを浮かべて、片手を上げて挨拶をしてくれている。
「葵くん、どうしてここに?」
「突然ごめんね」
「……まさか、ずっと待ってたりしました?」
いや。さすがにそれはないかと思いたい。そうであったら、ストーカーじみていて少し怖い。
「君の友達に教えてもらったんだよ。この時間なら、正門前で待っていたら会えるからって」
「え」
里央は硬直した。
それからたっぷり十秒。
今日さんざん冷やかしてくれた皆の顔を思い浮かべる。
(あの子たち……!)
だからあんなに楽しそうだったのか!
皆がなんでああも葵の話題で盛り上がってくれちゃったのか、理解ができた。昨日の二次会で、きっと、皆で葵と里央攻略方法でも練ったのだろう。
頭を抱えたくなる気持ちになりながら、里央はしっかりと頭をさげた。
翌日、最後の試験を終えて、帰路につく。これで里央も晴れて夏休みだ。
ちなみに、昨日の合コン仲間も今日も同じ試験を受けていた。
彼女たちは皆、里央が葵の告白を断ったことを知っているようだった。どうも、二次会で葵本人から聞いていたらしい。
冷やかし半分で「あんな素敵なひと、もったいない」って言われたけれど、里央の琴線には触れなかったのだからどうしようもない。
さんざんからかわれてから、ひとり帰路につく。
――と、校門近くまできたところで、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「里央ちゃん!」
おかしい。もう二度と聞くことのない声のはずだ。
校門の方へと目を向けると、見覚えのある姿があって、里央は困惑した。
葵だ。
少しはにかむような笑みを浮かべて、片手を上げて挨拶をしてくれている。
「葵くん、どうしてここに?」
「突然ごめんね」
「……まさか、ずっと待ってたりしました?」
いや。さすがにそれはないかと思いたい。そうであったら、ストーカーじみていて少し怖い。
「君の友達に教えてもらったんだよ。この時間なら、正門前で待っていたら会えるからって」
「え」
里央は硬直した。
それからたっぷり十秒。
今日さんざん冷やかしてくれた皆の顔を思い浮かべる。
(あの子たち……!)
だからあんなに楽しそうだったのか!
皆がなんでああも葵の話題で盛り上がってくれちゃったのか、理解ができた。昨日の二次会で、きっと、皆で葵と里央攻略方法でも練ったのだろう。
頭を抱えたくなる気持ちになりながら、里央はしっかりと頭をさげた。
