俺が帰国したのは、やはり5年後だった。

帝国の留学から戻って直ぐに、リーヴァイス伯爵に手紙を書いた。
『無事に戻りましたので、グレイス嬢に会いに行きたい』と。

ところが夏の休みに中等部のお別れ合宿的な旅行が予定されていたらしく、それが終わるまで待っていて欲しいと、いう。

お別れ合宿? ふざけているのかと思った。
全員そのまま高等部へ進学するのだ。 
誰が何と、お別れすると言うのか?

俺の中等部卒園の頃には、そんなイベントはなかった。
7年違うと、こんなにも違うのか?と、
少々、世代差を感じてしまう……

例の雇っている専門家に詳しく調べてもらうと、
学園のイベントではなく、1人の調子に乗ってる侯爵家の息子が気に入った同級生に声をかけて集めたらしい。
旅行先は、侯爵家の山荘だ。

一瞬旅行がなくなればと、火をつけてやろうかと思ったが
(思っただけだ)
山荘なので、我慢した。
山火事は起こしたくない。
ダメ、ゼッタイ。

彼女が帰ってくるまでの2週間。
17歳になった妹から向けられる哀れんだ視線が辛い。

留学前の12歳の妹からはこんな目で見られたことなかったのに。
俺がいない間に、父から面白おかしく話を聞いたらしい。