多分、もうすぐ俺は死ぬだろう。

10年間想い続けたグレイスと無事に結婚出来た。
今が人生のピークかもしれない。 
最高の地点で神様に連れて行かれる様な気がした。

「……旦那様、お身体の具合が?」

目の前の天使の瞳が揺れた。
たまらん、可憐だ。

「身体は健康だよ」

「何処かの戦いに赴かれる、とか?」

「戦争の火種はないし、俺は文官だから最終王都決戦とかになると出陣かな」

「……何で、死ぬんですか?」

ちょっと眉をひそめる天使もよき。

「幸せ過ぎて……君と結婚出来て幸せだから!」

一瞬、天使の表情が消えて、すぐに真っ赤になった。

俺は昨夜、俺に誓った。
何時神様に召されても良いように、グレイスに愛を届けよう、と。

7歳年下の彼女に恥ずかしがってどうするのだ。
俺は筋金入りの片想いマスターだぞ。
俺の気持ちを知ったやつは、皆気持ち悪そうにしたけど、俺は貫いたんだ。

これからは本人に、それを毎日伝えていく、そう誓ったんだ。