とうとう結婚式当日になった。

空は何処までも青く澄みわたり、綿菓子の様な白い雲が浮かんでいる。

そして、俺の隣には愛しい愛しい天使、グレイス。


やっとここまで来れたと、教会の控え室でイーサンを前に俺は泣いた。

この1週間、俺の涙腺はおかしかった。
朝日を見ても、
太陽の下でも、
夕焼けを眺めても、
月を仰いでも、泣けた。
全俺が泣いた。

「お前な……いい加減にしろ」

俺は3枚ハンカチを持っていたが、全てぐっしょりだったので借りた。

「もう身体中の水分がなくなって死ぬかも……」

「今死んだら幼妻どうすんの、誰かのモンになるぞ」

それは絶対に許さない!
俺は涙を拭いて立ち上がった!

「それからさっき、お前のお母上から伝言預かった
『部屋の事を早く言え』って、何の事かわかってる?」

そうだ、しばらく客室で我慢して貰う事をグレイスに言わなくてはならない。

妹からは、もう俺は壁紙は勿論の事、家具や照明、ベッドシーツに至るまで手出しせず、
グレイスに選んで貰う様に厳命されている。

「あと、俺が言った事忘れてないな?」

「し、白い結婚?」

「そうだけど、俺はお前が心配だ
 お前はグレイス嬢に関するとポンコツになる」

「……」

「まず話し合えよ、その言葉は一番最後だ
 私はその日まで白い結婚で構いませんとか、
 そんな感じ」

「うまく言えるかな……」

「うまく言えなくてもいい
 お前の誠意を見せて、大切にしたいって、
 それだけはちゃんと言えよ」

イーサンがまた俺を泣かせる……