『何でも欲しがる義理の妹』について、聞きたい気持ちもありましたが。
ここで深掘りはやめておきましょう。

本当に早く寝たかったのです。
色々思い出して、遠い目をした大叔母様の介護は背中を擦っていらっしゃるお母様にお任せしましょう。

既に4杯目のグラスが空き始めているお姉様に、私は促しました。

「お姉様、続きを」

「小説ではね、そんなこと言い出す男には大概、幼馴染みポジの女が居て、男はその女が好きなの
 だけど、女の実家は男とは釣り合わない」

そもそも釣り合わないご実家同士で幼馴染み、ってどういう?
その設定に無理はないのでしょうか?

「それで男は仕方なく政略婚をして、迎えた名ばかりの妻に宣言する……」

「白い結婚だ、って?」

「そうそう、その後にセットで言うのが……」

「俺に愛されると思うな!」
「お前を愛するつもりはない!」

続けた私の声に①と②の声も重なってしまいました。


「私達、政略結婚なんですか?」

私はお母様に尋ねました。

「ウチとくっついても、あちらには何の得もないわよぉ」

確かに。
クリストファー様は、王太子殿下の側近でキラキラした御方です。
その御方がどうして、しがない伯爵家の、まだ小娘の私と結婚しようと、されているのでしょう。