こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

「……楓さん」

名前を呼ぶように、通話ボタンを押してしまった。

「明莉さん?」

すぐに出てくれた。
 その声を聞いた瞬間、涙がこぼれた。

「……すみません。なんか……怖くて……」

「大丈夫です。僕はいます。話してください」

その言葉に、胸の奥がじんと熱くなる。

「……ひとりだと、いろいろ考えてしまって……」

「ひとりじゃありません。僕がいます」

その言葉が、暗闇の中で灯りのように感じられた。

楓の声を聞きながら、
 少しずつまぶたが重くなる。

「……ありがとうございます……本当に……」

「ゆっくり眠ってください。
 明莉さんは、もう大丈夫です」

その言葉を最後に、
 意識が静かに沈んでいった。

ひとりの部屋なのに、
 楓の声がそばにあるように——
 その温度だけが、明莉を包んでいた。