こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

夜になると、
 部屋の静けさがさらに深くなる。

ベッドに横になっても、
 眠れなかった。

(また……落ちたらどうしよう)

(玲奈ちゃん……どうしてあんなことを)

(私……どうしたらいいの)

考えれば考えるほど、
 胸が苦しくなる。

気づけば、
 スマホを手に取っていた。

「……楓さん」

名前を呼んだ瞬間、
 胸の奥がきゅっと締めつけられた。

助けを求めるように。
 縋るように。
 それでも、声は震えていた。

画面の明かりが、
 暗い部屋の中でひとつだけ温かかった。

(……出てくれるかな)

ほんの数秒が、
 永遠のように長く感じられた。

そして——
 着信音が鳴り始めた。

その音だけで、
 涙がにじんだ。