こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

「……すみません。なんか……怖くて」

楓は驚いたように目を瞬かせ、
 すぐにその手を包み返してくれた。

「大丈夫です。僕はここにいます」

その言葉が、胸の奥に静かに染み込んでいく。

(……ああ、安心する)

自分でも驚くほど、
 楓の存在が心を落ち着かせた。

「楓さん……」

「はい」

「……そばにいて、くれて……本当に……ありがとうございます」

声が震えた。
 涙がにじむのを止められなかった。

楓は優しく微笑んだ。

「あなたが無事でよかった。
 それだけで十分です」

その言葉を聞いた瞬間、
 胸の奥の不安が少しだけ溶けた。

まぶたが重くなり、
 意識がゆっくり沈んでいく。

最後に感じたのは、
 楓の手の温かさだった。

その温もりだけが、
 暗闇の中で確かに残り続けた。