こわれた私を拾ってくれたのは優しすぎる彼でした

目を閉じると、玲奈の笑顔が浮かんだ。

「明莉ちゃん、最近ぼーっとしてるから」
「危ういなって。みんな心配してるよ?」

優しい声。
 柔らかい笑顔。

なのに、胸の奥がざわりと揺れた。

(……どうして、あんなこと言ったんだろう)

疑いたくない。
 友達だと思っている。

でも——
 あの棚のこと。
 SNSの噂。
 スタッフの誤解。

全部が頭の中で絡まり、
 息が苦しくなった。

「……明莉さん?」

楓が心配そうに覗き込む。

「ごめんなさい……なんか……よくわからなくて……」

声が震えた。
 胸の奥の不安が、言葉にならないまま溢れそうになる。

楓はすぐに明莉の手を包み込んだ。
 その手は温かくて、揺れる心をそっと支えてくれる。

「大丈夫です。無理に思い出さなくていいんです。
 今は……休んでください」

その声が、深いところに届いた。
 張りつめていたものが、少しだけ緩む。

(……楓さん……)

涙が滲んだ。
 怖かった。
 本当に、怖かった。